「エビさんのやっていることは“標題音楽”ですよ」

エビ写真
ーみなさんの音楽はなんと言ったらいいんでしょう?
山本:曲ごとにテイストも違うし、難しいですよね。去年、美術評論家の樋口ヒロユキさんと対談する企画があったんです。そのときに樋口さんが「エビさんのやっていることは“標題音楽”ですよ」っておっしゃって。
ー標題音楽?
山本:クラシック音楽で「熊蜂の飛行」という曲があるんですけど、ピアノやトランペットで熊蜂の飛び方や羽音を表現した曲で“標題音楽”の代表格なんだそうです。情景やイメージを描写する音楽を“標題音楽”というんですね。言われてみれば、僕らのやってることって確かにそうかもって。
ー確かに。M-5「アノマロカリス」は、すごく迫力のある曲ですよね。
山本:“アノマロカリス”は、約5億年前に実在した頂点捕食者の巨大な節足動物なんです。この曲はトラック数がとにかく多くて、いちばん苦労した曲です。でもその分、迫力のある音になっていると思います。「アノマロカリス」は、アルバムタイトルにも付けているんですがそれぞれ別の意味で付けていて。曲単体では、標題音楽の生き物のしてのアノマロカリス。アルバムタイトルでは、日本語訳の“奇妙なエビ”っていう意味を込めています。

「そのシーンにマッチした音楽をつける、そういう感覚です」

ーM-3「アルテミア・ノープリウスが泳いでいる。」で特に思うんですが、一貫した印象で“水の中”というイメージを受けます。
山本:僕らには“溺れたエビたちが生息する世界”っていうテーマがあるんですけど、そこにメッセージ性はありません。常に“ビジュアルと音楽”、“アクションと音楽”がセットなんです。映画もそうですよね。そのシーンにマッチした音楽をつける、そういう感覚です。
ーM-2「Psychedelic Under Water」は、映画『デストロイ ヴィシャス』(監督:島田角栄/2010年)の劇場曲で、ご自身も出演されているんですね。
山本:『デストロイ ヴィシャス』は、ヤクザとパンクロッカーの少女との人間ドラマに、おかしな設定が入ってきて最後は異次元空間にいっちゃうストーリーなんですけど、異次元空間への扉の門番をエビがやっているんです。映画用にイボイボのパーカッションやセットを作りました。その後ろで流れている曲です。
ーその映画のために作った曲?
山本:そうでうね。映画で使われている曲はこのアルバムの曲よりも簡素になっていますが。
ー曲づくりはどうされていますか?
山本:総帥がおおまかな全パートを作って、プリプロで音を実際にいれたモノをスタジオでメンバーに「次、これやります、覚えて来てね」って渡されて、基本的には、総帥が指示したアレンジ通りにやります。細かいテクニック的なところはメンバーそれぞれに任されています。

「南国のお日様のあたるトロピカルな方に向かっています」

ー山本さんが、全体の演出の中で意識してることは?
山本:当初は、スーツにエビマスクっていう“ちょっと怖い怪人色”が強いスタイルでやっていました。僕はゴジラやウルトラマン、仮面ライダーが大好きで、特撮番組を観て育ってきたので、そのテイストを全面に押し出していたんです。でも、最近はちょっとイメージチェンジしてきています。
ーイメージチェンジをするキッカケはあったんですか?
山本:シンプルに“お客さんを楽しませたい”とか“踊らせたい”っていう欲求が強くなったんです。リオのカーニバルとかアフリカやパプアニューギニアなんかの部族的/民俗的な要素が強くなりました。プリミティブな。イメージ的にも、カラフルなイソギンチャクや珊瑚礁、ハワイなんかの南国のお日様のあたるトロピカルな方に向かっています。
須原:エビの音源には2パターンあってね。今作のプログレ系、もうひとつはダンス系。
ータイプが違いますね。
山本:1stアルバムを2枚組にするかって話もあったんですけど。結局、2ndを今作ってる真っ最中です。
ー先日、“ヤセイのエビと蛸”(13.3.13@梅田Shangri-La)を拝見したんですが、ファンクやエレクトロな踊れる曲が多かったと思います。2ndは、ライブ寄りなイメージ?
山本:そうですね。ライブで踊れる曲ばっかりになると思います。でも、このアルバムが思ったより評判が良いので、このテイストも入れた方がいいのかもと思ってます(笑)。
須原:確かにいろんなところで話題が出てるよね。“エビのマスク”っていうビジュアルで取り上げられてるっていうより、ちゃんと音楽性で評価されてるのが嬉しいね。最近、こういうガッツリしたプログレっぽい音を作るバンドっていなかったもんね。
ーそうですね。エビさんって「○○っぽい」みたいな表現ができませんよね。
山本:うちに関しては、なかなか見つけにくいと思います(笑)。
須原:いたとしても「スペインの片田舎のプログレバンドっぽい」とか(笑)。
ーそもそも、ジャンルで括るのも難しい気が…。
山本:そうですね。この間、タワレコで“ニューエイジ”に入れられてたし(笑)。

「子供の頃から“STOMP”とかが大好きだったんです」

ーライブを拝見して思ったんですけど、パフォーマンスのレベルが高くて、バンドのライブっていう感じとは違いました。
須原:エビは、総合アートの集団って感じがするよね。
山本:僕は、子供の頃から“STOMP”(デッキモップやゴミ箱のフタ等を打楽器として演奏する、ブロードウェイのパフォーマンス集団)とかが大好きだったんです。日本にくる度にショーを観に行ってて「いつかこんなことをやりたいな」ってずっと思っていました。エビはもっとバンド寄りですけど。
ー暗闇で無数の目玉が光ったときや、総帥がまといを持って客席に降り立ったときは、異空間に来たみたいで鳥肌が立ちました。
山本:僕が特撮映画が好きなのは、現実には絶対にありえない非日常空間だからなんですよね。そういう非日常空間をアクションやパフォーマンスと演奏をうまく融合させたステージングをしていきたいですね。

Interview:kobayashimika

 

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ひろうjk

CD9559 ¥1,890(税込) NOW ON SALE

  • New Album
    『アノマロカリス』
    M-1 「外骨格 」
  • M-2 「Psychedelic Under Water」
  • M-3 「アルテミア・ノープリウスが泳いでいる。]
  • M-4 「ワシャワシャ!! グギャギャギャギャ!!!」
  • M-5 「アノマロカリス」


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