「気兼ねなく意見が言い合える、その環境がすごく嬉しい」

ー曲は、奇島さんが作られているんですよね。
奇島:はい。今作ではアートワークにも曲にも、メンバーがたくさん意見を出してくれました。曲づくりって、プロ野球と同じで「三割打者」って思うんです。10回打席に立って3本ヒットが打てればいい。曲も、10曲書いて3曲モノになればいいんです。みんな、すごくダメ出しをするけどそれでいい。気兼ねなく意見が言い合える、僕はその環境がすごく嬉しいんです。
AYA:全体像にすごく賛同しているからこそ、「よりよいものを」って思うと文句も出て来ますよね。アルバムを通して聴くと、とても明るめの作品になったと思いますね。
Emmy:私は、M-4「バック・トゥ・バック・バンド」は、自分が叩いててすごく気持ちがいいです。ドラマー視点だと、テンションあがりどころの曲ですね。
ーM-1「性的生活」は、ポップな曲調に刺激的な歌詞がすてきですね。
奇島:「性的生活」は、無礼人さんと西成で同居してた情景が出てて、走馬灯のようによみがえってくる。1曲目だから、ポップな明るい曲にしたかったんだよね。エロスイコール人生だよね。
ーそうですね。エロスイコール人生ですね。
AYA:昭和の文学って、もっとエロくて。当時の文学賞作家も、エロい表現してますよね。そんな感じに近いと思います。
ー今作では、M-8「風のダンデライオン」がいちばん爽やかな曲だと思いました。
須原:僕はプロデューサー的視点で「風のダンデライオン」がアルバム内のバランスとして肝になるだろうって思ってます。最もヰタ・セクスアリスらしいかな。
AYA:過去のヰタ・セクスアリスの橋渡しとしてはM-9「幻想のリリー」もすごく重要な曲だと思う。1番ポップさのない曲なんだけど、1曲目に収録するべきだと思います。
須原:それはさすがにハードルが高い(笑)。「幻想のリリー」は即興部分が多くて、イントロと間奏が毎回ちがう。僕たちにはけっこうそういう曲があるんです。個人的にはM-7「ワレハ詩人」が、一番気に入っています。
奇島:「ワレハ詩人」は、作詞も作曲も全部僕が作ったんです。カットアップっていう、言葉を紙に書き出してそれを羅列していく手法で制作しています。『ロシュフォール』(1967年フランスのミュージカル映画)に影響を受けて作った曲です。
Emmy:そもそもフランス文学が好きなんですか?
奇島:うん。文体とかよりもファッションやセンス、立ち居振る舞いやオーラが好きです。セルジュ・ゲンスブールとか。真逆なのがスリッパにベルボトムで、汗臭い……そんなのは絶対に嫌。リアルヒッピーっていうのはあんまり好みじゃないです。
ーなるほど。そのこだわりがライブ衣装にも繋がってくるんですね。
AYA:奇島さんは、このジャケットの表紙のウイッグを被ってレコーディングしてましたらかね(笑)。
奇島:このアルバムに関してはミリタリールックでライブをしています。PVもをたくさん作ってるんで観てほしいですね。

「レコーディングの醍醐味って言ったら、ファズの品評会だね」

ーレコーディングはいかがでしたか?
奇島:僕と須原さんの中でのレコーディングの醍醐味って言ったら、ギターのエフェクターのファズの品評会だね。
須原:60年代のエフェクターで、「ジージー」って音なんだけど、それが二人とも好きで。僕が、探し集めたビンテージのファズを大量に持っていく。今回のアルバムもビンテージファズで作っていて、10台ぐらいを各曲で振り分けています。
奇島:そういういろんな機材を、僕なら使いこなせるって自信があります。利きファズしてくれたら嬉しいよね。
Emmy:レコーディング、楽しかったです。レコーディングってシリアスになりがちなんですが、今回はみんなで一発録りだったので集中できて、ドライブ感も出せたんじゃないかなって思います。
ーM-5「ドグラマグラ」は、明るい曲なのに不思議な雰囲気がありますけど、レコーディングで工夫されたんですか?
奇島:この曲は小説の「ドグラマグラ」(夢野久作/1935年)そのままのイメージです。
須原:そういう世界をどうしたらレコーディングで伝えられるかなって考えました。クイーカっていう竹籤をこすって鳴らすパーカッションを買ってきて、2、3日練習して一部にダビングしました。。あとは、自分の笑い声を逆回転にして、ノイズで処理してカセットに落として…(なんでこんなことしてんだろう)っていうことをしました(笑)。そこだけローファイな感じで。
ーすごい…。
AYA:レコーディング中も細かいアレンジを変えたり、日に日に進化していきました。
須原:AYAちゃんにはダビングの時にイメージを伝えて、ストリングスっぽいフレーズ弾いてもらったりしましたね。
奇島:やりながら進化していけたっていうのは自分でもやりがいがあったよね。
ー常に進化していけるって、すてきな環境ですね。
AYA:ミックスは須原さんがしてくれてるんですけど、「ミュージシャンの演奏を尊重するから、絶対に消さない」とか「ミュージシャンの意向を大事にするんだ」っていう考え方じゃなくて、「ダメなところはダメ」ってサクっと削除してくれるし、加工をガンガンしてくれる。変な遠慮がないから、安心してビビらずにいろんなことが試せるんです。
須原:その選択肢を任せて信頼してくれて良かったです。すごくいいものができたなって思いますね。

Interview:kobayashimika

 

[ヰタ・セクスアリス]
http://vitasexualis.sakura.ne.jp/

 

ひろうjk

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  • New Album
    『Vita』
  • M-1「性的生活」
  • M-2「かぶりつきのばらあど」
  • M-3「天井桟敷の様に」
  • M-4「バック・トゥ・バック・バンド」
  • M-5「ドグラ・マグラ」
  • M-6「ヰタ・マキ二カリス」
  • M-7「ワレハ詩人」
  • M-8「風のダンデライオン」
  • M-9 「幻想のリリー」


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